読売テッラvol.10
読売テッラvol.10
~長幼の序~
痩せた手に3枚の千円札を握り締め
会計を済ませる祖母の背中が子供の頃より
小さく見える。
今日は寒空だが良く晴れ、珍しく祖母が私を食事に誘った。
近所に出来た比較的に新しいイタリアンレストラン「LaTerra」
静かで大人向けのレストランで、祖母の様な年配者にも
好まれる上品で優しいテイストが人気を呼びつつある。
祖母と私は若いホールスタッフの勧めするままに従い
パスタとピッツァのランチを頂き
そのパスタも2皿に分けてくれていたので祖母にとっても程良い量だった。
この日は祖母も機嫌が良かったのか、良くおしゃべりをして
デザートまで食べ終える頃には満足だったのか
私の仕事の悩みまで少し聞いてくれた。
祖母の穏やかな表情につい私もほころび
悩みなどどうでもよくなった・・
会計は私が済ませるつもりだったのだが
祖母の強引さに負け
長幼の序という言葉の奥深さを知った1日だった。
お店と料理以外全てフィクションです
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